toriko

爆笑! 積丹半島 恐怖の発泡スチロール事件  














e0180796_5401837.jpg




















人生、誰もが幾つかは怖い経験をするものであろうが 今だに私が語り継ぐ恐怖の話をひとつ


聞いていただこう。


かれこれ20年程前の話である。


友人の寝起きフラフラTさんと自称むっつり助平のOさんの3人で積丹半島まで釣りに出かけたのだ。

 
Oさんは年上で私が東京にいた頃の職場の先輩で30数年来に及ぶ長い付き合いの人物である。


その年の冬1月であっただろうか、アタリもまったくない有様で午後3時位に早々引き上げることに


したのだ。




トボトボとその小さな漁港を通り過ぎようとした時 港の先の方から誰かが叫んでる。


明らかにこちらに向かって叫んでるのだ。


「おーい! おーい! こっち来ーい!」


何だ? ちょっと行ってみようと近づいていった。


すると呼んでたのはうす汚い顔をした爺さんで、そこにはでっかい丸々太ったタラがあった。
 

「いま揚がったタラだべ 買え!ホラ持ってけ!バカこの!」と命令口調の爺さん。


今確か「バカこの!」と聞こえたようだが、多分気のせいだろう・・・


「さっきまで生きてたべや! 買ってけっ! 買え!」 まるでハイ!と返事をしてしまいそうに


なるほどの強制的な口調なのだ。 言葉の悪さにムッっとしながらも、そうだ今夜はこれで


鍋でも作って残念会でもしようか? ということになり1匹2000円で買ったのだった。



すると今度は「ホラどこ見てんだ!コラ!ホレこれどうだ?ん?」促されて見るとソイである。


「さっきまで生きてたべや! 買え!ホラ!3匹で1000円だ!安いべっ!」
 

またもや、さっきまで生きてたべや!が出た。 なるべくイキの良さを強調したいようだ。


さっきまで生きていたという事は言い換えれば今死んだのだ。という事になるのだが、どっちでもいい。


皆顔を見合って「刺身にする?」と私 「うんうん」と二人。


しかしチョット待った! 買ったはいいがこんな大きなタラを入れる入れ物がない。


クーラーボックスには入らないし 大きなポリ袋も用意していない。


さてどうしよう・・・ と考えていたら通りの向こうから チャリンコにうず高く大きな


発泡スチロールを荷台に乗せた見た目70歳はとうに過ぎたであろうと思われるバァさんが


フラフラしながらやって来たのだ。


やったーラッキー!だと思い 「ねぇ かあさん その箱ひとつ分けてもらえない?」と私が


訊いたその瞬間、何が起きたのか一瞬わからなくなるほどに ものすごい剣幕で


「何い! ぬかせ! このやろ! 発泡くれだぁ!? てめーら! ふざけんな! バカでねーのかぁ?


ぶったたくぞ! コラ! このぉ!」などとぶちまかされたのだ。


瞬間 皆驚いて 目も耳も点になって固まってしまった。


あの無表情のこけし顔の どんなに絵のへたくそな者でも線だけで描けそうな郵便局記号(〒)


みたいな顔がエイリアンの顔に豹変したのだ。


何か気に障る事でも言ったのか? いや言ってない。


くれとは言ってない。 分けてはもらえないかと言っただけだ。


それなのにナンという凄まじい驚愕の返答、口の悪さ なんという婆様だ。


おまけに「なんだこんなもん、邪魔だ!オラッ」と釣り道具を短い足で蹴ったではないか!


足が短くてかすっただけだったが、これにはさすがに婆様でもかなりムカッと来た。 


するとさっき魚を買った船の方へ向かって行くではないか。


何か会話してる。もしかしてあの二人は夫婦なのか?


くそ・・ 二人の間柄は判らないが なんだその言い草は!態度は! 今魚を買ったんだぞ!


いや買わされたんだぞ!って憤慨していたら、ナントそこで突然神風が吹いたのだった。


運良くバァさんの発泡スチロール箱が一個風に乗って50メートルは離れてるであろう我らの足元に


飛んで来たではあるまいか。 「はははっ やったもんねぇ~だ。 ザマ見ろババァ!


天はこうして味方をしてくれるんだわっ!」^^V 






皆思いは一緒だった。  素早くタラを箱に入れあたりの雪を被せ車に積み込み


「さー出せ!!」とまるで銀行強盗のように車に飛び乗ったのだ。




しかし恐怖はここからだった。


あのエイリアンが 車めがけてこの世のものとは思えぬ形相で飛んでくるようにやって来たのだ。


「やばい!! 行こう! 早く早く!」


焦ってるのか、もたついてる。


「何してんだー!?」


運転するのは先輩だがこの時ばかりは叫んでしまった。


なんと凍った路面でタイヤが空回りしてるのだ!


「わっー来た来た!」 気の弱い寝起きフラフラTはもはや顔面蒼白 今にも死にそうな顔をしている。


ついに車まで来てしまった。


手に魚用の手カギを持ってる。


バレたら殺される。


「コラー おめえら 発泡知らねーか? あん?コラ!見なかったか?こっちに飛んで来たべ!?


すっとぼけんなよ!?」などと言いながら 車高の高いRV車の中をジャンプして見ようとしてる。


なんて身軽なババァだ! 身の毛がよだつ。  「知らなひよよ・・」 恐怖で声が震える・・・


他の二人は恐怖からか、「知らない知らない うんうんうんうん」と頭を振り続けてる。


「ホントか!?アンッ?」 疑ってる。 車の前後左右、ルーフの上や車の下を覗いてる。


何かブツブツ言いながら小走りで辺りを探してる。




まてよ、ババァに見えるけど、実は物凄く老け顔のおばさんだったりして・・・ 一瞬考える。


そんな事はどうでもいい。 早く早く!! 気が焦ってる! 「何をモタモタしてんだぁ!!」


ついに怒鳴ってしまった。


この時ばかりは運転しているのが先輩だろうが何だろうが頭をひっぱたきたくなった。


Tは気絶してる。


と、その時奇跡のようになぜか車が動いた。


車が動いてこんなにも嬉しく思うことがあっただろうか・・・


「やったー!!!」


「飛ばせ!飛ばせい!!!」


車が走る。 雪道を一目散に走る。 


先輩は笑ってる。 壊れたのだ。


婆様がだんだん遠くなっていく。


この時ばかりは皆同じ気持ちになったはず・・・





恐怖から開放されてか車の中はしばらくの間沈黙が続いていた・・・



















e0180796_541546.jpg





























あとがき





しかしこのジィさんとバァさんの言葉遣いの悪さは半端じゃない。


漁師は言葉遣いや柄が比較的悪い事は知り合いもいて知っていたが これほどまでとは・・・


おそらくこの二人に子供がいたなら もういい年令だとは思うが当然言葉は悪いものと思われる。


そして孫も・・・


という事はこの二人の親もそのまた親も先祖をどれだけさかのぼっても金太郎アメのように言葉遣い


は変わらないのであろう。



言葉にホラ コラ オラ ヤレ ソラ などと必ずカタカナ2文字がつく。


これはいったい何なのか?


これが無いとしゃべる事ができないのか 前に進まないのかどうなのか?


ここの人間がみなそうだとしたら 朝起きて オラ起きたべや! コラめしだべ! ヤレ糞だ!


ホレ行くべや! ソラ帰ったぞ! などとなるのか?


そしてバカ アホ マヌケ などTVだとピー!の入る言葉が何の躊躇もなく簡単に口から出る


だから会話をするとバカオラ アホコラ ヤレマヌケ などとアフリカの少数民族か南の島か


どこかの土着民族の言葉のようになるのだ。


親も先輩も目上の人間もヘッタクレもないのだ。


もしここに何かの事情で総理大臣が来たとしても 来たのかバカこの ここ邪魔だアホコラ


ブッタタクゾ ヤレソレクソなどと言ってしまうのか?


ここの漁師全員がそうだとはいっていない。


この二人に限定して書いた次第である。













風に飛んで来たとはいえ発泡スチロールの空箱を持ち去った事は犯罪です。


かといって交渉は不可能でしょう。


使い古しの薄汚れた箱でしたが、ここに謝罪いたします。










































・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[PR]
# by doronko-tonchan | 2010-05-15 05:33 | アウトドア | Comments(45)